群馬 授業づくり研修会のご案内

3月25日(土)、群馬大学の国語科長期研修院の「群馬 授業づくり研修会」が行われました。我々「授業に学ぶ会」も特別セミナーという形で参加させていただきました。

 

午前中は、新潟大学准教授の一柳智紀先生から「聴き合い、学び合う授業を目指して」という演題のご講演をいただき、そのお話をもとにした参加者の意見交換が行われました。そして、午後は、我々の会のメンバーで前橋市立原小学校の齋藤 優教諭の「スーホの白い馬」の授業をビデオ視聴し、授業に関する交流を行いました。そして、最後に群馬大学の濵田秀行先生が、齋藤先生のこれまでの授業づくりについてコメントをしながら全体のまとめをしてくださいました。

 

これからの群馬県の国語教育をになうことになる群馬大学の国語科の大学院生と大学生、そして現場で日々授業づくりに奮闘されている先生方、あわせて30名ほどの方が一堂に会して一柳先生の講演を聴いたり齋藤先生の授業を視聴したりすることを通して、聴き合い、学び合う授業について語り合うことができました。


一柳先生の講演より

一柳先生は「聴き合い、学び合う授業を目指して」という演題でお話しくださいました。お話の柱は次の2点

○なぜ「聴き合う」なのか?

○「聴き合う」関係をどう育ててくのか?

 

一般に、授業の中で「話し合い」ということは大変重視されていて、授業づくりに際しては、誰しもが最も意識していることの一つではないかと思います。しかし、一柳先生は「聴き合う」関係の重要性を説いていらっしゃいます。我々、協働的な学びについて学んでいる者たちは、石井順治先生や秋田喜代美先生のご著書等から、授業の中で「聴き合う」ことが大切であることは知ってはいました。しかし、今日のお話を通してあらためて、これからの新しい学習指導要領を見据えたときにも、この「聴き合う」ことがいかに大切であるかを知ることができました。

 

これまでの授業の中でも「話し合い」が大変大事にされていたことは書きました。しかし、「話し合い」と称する学習活動は本当に話し合いになっていたのか、ただの発表会になっていなかったか、という一柳先生のお話に「うーん確かに!」とうなずいたのは私だけではなかったでしょう。誰かの発言に対して、「私はその意見には反対です。自分は****と考えます。」「今の○○さんに付け足してで、****」「自分は○○さんに賛成です」一見すると、盛んに意見交流が行われているように見えます。しかし、これは決して子供たち同士が相互につながり合って、考えを深め合っているのではなく、自分の考えを発表し合っているだけだというのです。まさに、そうですね。なぜこのようなことが起こるのか?その一番の原因は、やはり相手の言うことにしっかりと耳を傾けて聴いてないことなのですね。

授業は、子供たちが友達と学び合うことを通して、自らの学びを深めていく場です。したがって、まずは友達の声に耳を傾け、「あの子は、どのように考えたのかな?」「どうしてそう考えたんだろう?」「どこからそうに考えたんだろう?」このような友達に対する疑問から「聴き合い・話し合い」は始まり、その友達の声に応えることで学び合いが深まっていくんだといことを、あらためて考えさせられました。

 

そして、「聴き合う」関係を意識して授業を振り返ってみると、教師の言葉かけにしても、学習活動の作り方にしても、学習課題の設定にしても、発問の内容にしても、すべて再考の余地がありそうに思えてきました。そして、何よりも、教師の聴き方が大きく作用することも再確認できました。子供の声にしっかりと耳を傾けることのできる教師のクラスの子供たちは、だれもが友達の言葉をしっかりと受け止めて、そこから新たな自分の考えを導き出し、学びを深めていくことができるのですね。すべての先生方が、子供たちの声に耳を傾け、子供たちの対話をしっかりと見とれる教師でいてほしいと願うばかりです。